★夏雲

先日、庭の一坪余りの土から、蝉の幼虫が這い出て羽化した。土の中で十数年、逞しく生き抜いた暁に、大空へと自由に飛び立つその姿は、ひとしおの感動を齎せてくれる。而もこのような狭い土地で。
(よくぞ!)
思わず檄を飛ばしてしまうのである。
(然し乍ら...)
命とは儚いものである。
(人も虫も)
その約一週間後、小さな庭でアブラゼミが断末魔を上げてあの世へいった。
(若かしたら...)
彼だったかも知れない。
(あの鳴き声からすると...)
きっとよい嫁に出会って、神秘の一時を過ごしたに違いない。
(虫の世界...)
オーディオからはボンクラ峠。小平の空には蝉しぐれ。ブルーベリーは最盛期。夏雲はもくもくと立ち昇っている。

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