★秋空

 最近、メンバーからの助言で気付かされた事がある。

(おれは民謡にハマっているらしい...)

余り自覚が無かった事だけに、はたと驚かされた瞬間ではあったが、思い当たる節は多分にある。この2.3年というもの、部屋で針を落とすレコードと言えば、"マルフク"だったり、"マルタカ"だったりの琉球民謡が主だったりするし、唄三線に魅了されていると言えば言える気もする。日夜時代小説を貪ってもいるし、そもそも古いものが好きな、爺臭い性格の持ち主ではある。

(ここまでくると確信的だが...)

懐古主義ではないと自負している。真相は分からないが、言ってみれば、

(阿呆ではあるまいか...)

なのだ。正に阿呆であると思う。例えば僕は、日本に於いての中世の人達が無性に好きであったりする。赤裸々なほどに心露に生き抜く彼等は、純粋に生命を剥き出しにして命を燃やしていたらしい。そこに惹かれるのだ。現在にも武者の様な人は居るには居る。故に事実、そういう人が好きだったりもするし、そう在りたいと思ったりもする。

(然もあろう...)

というヤツである。誰だって幼年の頃に、"秘密基地"なるモノを拵えた記憶があるとは思うが、常々将軍はやはり自分であっただろう。チャンバラもやったし、釣りや、探険と称する冒険を日々繰り返していた。命を燃やし、心を燃やし、人生という日常を生き抜いていたものだ...。

(あれらはきっと前世の原始の記憶だな...)

とか今になって嘯きながら回想する訳だが。例えば、

「中世と現代の違いはなにか?」

と問われれば先ず。

(何をするにしても命を掛けているか否か!?)

と答える。半端な事は出来ない。中世や古代に於いては、冒険心そのままに成人して、サバイバルを極めたる者共が往々にして居たに相違ない筈である。何故なら義務教育なる法が無いのだから。銃刀法も無いのだ。だからアナーキズムだった。それらの環境で育った人々は、ときに武者にもなっただろうし、ときに忍者になったかも知れない。ひょっとすると鬼や仙人だったかも知れない。現代の人々の命は法に依って守られたに過ぎない。嘗ては法が無い分、義で事が足りた。其れが人の不思議と言うやつでもある。

(誰だってやっていい事と駄目な事は分かっているのだな,,,)

法治国家はどうやら義理や人情を酷薄にするらしい。

(金だからな...)

と、秋の浮世の夜長に感傷の吐息が漏れる。

(命を燃やして技を極めた時代...)

と言ってしまっては陳腐に聞こえてしまうが、少なくとも現代よりは、恐らく民族として燃えていた時代が中世であった。戦国時代の武将にしても、江戸時代に至っても同様であっただろう。織田信長だろうが、豊太閤であれ、大御所であれ、民衆にとっては"生き易さ"こそが重要視された筈だ。だからこそ"三河者"でもある徳川が、民衆の支持を270年も持ち得たのが解せるという訳だ。余談になるが、神になった武将が二人居る。豊臣秀吉と徳川家康である。豊臣大明神と東照大権現がそれである。前者は宮廷から与えられた称号に近いが、後者の家康は、民衆の支持そのものから去来する信仰に似ている気がする。でなければ270年にも及ぶ江戸時代は実現しなかった筈である。むろんその功罪は判じ難い。文化文政時代と呼ばれる、鎖国がもたらした民族的性質の矮小化は、大航海時代から門を閉ざし、世界の普遍への理解に乏しい民族性を作らしめたとも言える。しかしながら、長い戦国時代に終止符をつけた、初代徳阿弥から繋がる三河土族の出身である家康が築き上げた江戸文化は、中世の最も華やかな時代であったとも思われる。

(光と闇...いつの世も存在するのが常だと言うのか?)

そもそも今から150年くらい過去の話だが、変われば変わるものでもある。

(なにが変わったのか?)

を考えるべきだが、如何せん現代の法やモラルは人間をガチガチに固めよる。其れによって内心だけが騒がしいのが本音である。精神のネットワーク性が欠かれ、個が量産される社会。

(あんな法が通っちまうくらいだからな...)

と憂鬱な長溜息が漏れる。

(それがいけない...)

とは思いつつ、どうやら奴等は"真実を打ち明ける"という、国民への義務をさえ放棄せんとしているらしい。

(阿呆では済まない話だが...)

窓を開けると、秋晴れの夜空に浮かぶ月輪が、もの悲しい光を表通りに落としている。涼し気な薫りを乗せた秋風が、狭い六畳一間の部屋へとそよぎ吹く。

(放射線が混ざる風...)

それを全身に浴びながら、酔いどれの体を寝所に横たえる。

(なんという時代か...)

焦立ってはみるが、身共は所詮一介の唄うたいである。故の乱筆乱文はどうかお許し給えるものかと存じて、此の日の記はここで筆を擱くことにしよう。そろそろ眠りをむさぼりたい所存である。今宵は八重山の民謡を聴きながら。

(おやすみなさい...)


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